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株オンライン(投資顧問)の【太陽光発電株】推奨銘柄の過去の例です。JAG国際エナジーの親会社「日本アジアグループ」など。 株オンラインは、サブスク(サブスクリプション)型の投資顧問サービスです。 月ごとの定額料金制で、日本株の売買の参考になる情報を配信しています。 「費用が安いのに有益な投資材料が得られる」と評判になっています。 当ページでは、日本の太陽光業界の投資動向や課題を分析します。 また、太陽光関連株について、株オンラインの過去の推奨株の成果を検証します。

太陽光エネルギー業界の動向【2021年】

太陽光発電所の新規の設置数は2020年代に入ってから伸び悩んでいます。政府の補助金制度が縮小したためです。

固定価格買い取り(FIT)

政府は従来、再生エネルギー普及のために、「固定価格買い取り制度(FIT)」を設けて買い上げてきました。この制度では、電力会社が太陽光発電業者から電気をいつも同じ価格で買い取ります。買い取るためのお金の一部は、私たち電気の利用者が負担します。具体的には、毎月の電気料金に「賦課金(ふかきん)」が上乗せされます。

市場連動型「FIP」の導入

FITに基づいて家庭・企業に転嫁される負担額は、2019年度に約2・4兆円に達しました。一般家計にとって重い負担になってきました。そこで、政府は、買い取り価格を固定するのではなく、その時々の需要と供給を反映した市場価格に一定額を上乗せする新しい制度の導入を決めました。「FIP(基準価格制度)」という仕組みです。
FIPへの移行によって、太陽光エネルギー投資をめぐる収支見通しは、従来よりも厳しくなりました。

FIT認定業者への規制強化も

政府はまた、FITの認定を取得したものの建設を進めない太陽光発電所に対する規制を強化しました。



株オンラインの【太陽光業界】推奨株の過去の事例

日本アジアグループ(JAG国際エナジーの親会社)【2020年10月推奨】

業種 太陽光発電・風力発電など再生エネルギー、航空測量
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
343円
(2020年10月28日)
推奨後の高値 855円
(2020年11月30日)
株価の上昇倍率 2.4倍
現在の株価 こちら→
市場 東証1部
(米投資会社カーライルらによるTOBで2021年に上場廃止へ)
証券コード 3751

JAG国際エナジーとは

JAG国際エナジー株式会社は、太陽光発電の会社である。日本や海外でメガソーラーなどの開発・設置の業務を行っている。風力やバイオマス発電も手がける。いわゆる「再生可能エネルギー」の専門事業者である。 日本アジアグループの子会社。本社は東京都千代田区。

国際航業の不動産部門として誕生

JAG国際エナジーは、もともとは国際航業の不動産部門だった。2006年に国際航業が日本アジアグループに買収された後、2008年に会社分割により国際航業の本体から切り離され、別会社となった。当初は「国際ランド&ディベロップメント」という社名だった。

その後、不動産よりも太陽光発電に力を入れるようになった。


業績

JAG国際エナジーの業績の推移です。公式ホームページの決算のページより。

<売上高と利益の推移>
決算期 業績 参照リンク
2020年3月期
(14期)
売上高:68億8458万円
営業利益:10億5876万円
純利益:44億2944万円
決算書→
2019年3月期
(13期)
売上高:68億7206万円
営業利益:5億4734万円
純利益:17億8819万円
決算書→
2018年3月期
(12期)
売上高:63億8621万円
営業利益:4億3972万円
純利益:1億791万円
決算書→
2017年3月期
(11期)
売上高:62億2425万円
営業利益:7億5679万円
純利益:3億9097万円
決算書→
2016年3月期
(10期)
売上高:104億4181万円
営業利益:8億8838万円
純利益:2億3519万円
決算書→

JAG国際エナジーの主な太陽光設備

■ 北海道の釧路・十勝メガソーラー

JAG国際エナジーは2013年以降、北海道の5カ所にメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設した。いずれも北海道道東地域の釧路・十勝地区。発電出力は合計約5500キロワット。2012年9月を皮切りに着工し、2013年から順次運転を開始した。発電した電力は全量北海道電力に売電している。

プロジェクトファイナンス

建設にあたっては、プロジェクトファイナンスによる資金調達を実施した。新生銀行がアレンジし、建設費用のうち約16億円を調達した。三菱UFJリースも参加した。

従来、メガソーラーの建設は企業の信用度に対して貸し付けが行われるコーポレートローンが中心だった。プロジェクトファイナンスでは建設プロジェクトが審査の対象になるため、個別企業では限界があった借入額の制約がなくなる。これによって事業の自由度が高まった。

■ 埼玉・杉戸ソーラーウェイ

2012年から2013年にかけて、埼玉県杉戸町に大規模太陽光発電施設を建設した。「埼玉・杉戸ソーラーウェイ」という名称だ。

スーパー堤防内の町有地

発電施設は、埼玉の杉戸町木津内の江戸川右岸のスーパー堤防にある町有地に新設された。土地オーナーの杉戸町は約7800平方メートルを20年間、計約1170万円で貸すことになった。このほか、町役場としては、JAG国際エナジーからは20年間で計約1100万円の税収を見込んでいる。地元側は「未利用町有地の有効活用にもなる」(古谷松雄町長)と歓迎した。

施設に設置されたパネルは約2000枚。発電出力は約0・5メガワット。一般住宅約150世帯分に相当する。年間発電量は約57万キロワット時。すべての電力は東京電力に販売している。2014年春に稼働した。

■ 北九州メガソーラー

2013年9月には、福岡県北九州市若松区に出力2000キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)「響灘ソーラーウェイ」を建設した。発電量は年間約210万キロワット時。発電した電力は九州電力に売電している。

産廃処分場の跡地

民間企業が所有する産業廃棄物処分場跡地の土地4万平方メートルを借りて建設した。施工は安川電機が手がけ、京セラ製の太陽光パネル6204枚を設置した。


再生エネルギーをめぐる政府の方針と経済界の対応

政府は2020年、非効率な旧式石炭火力発電を休廃止する方針を打ち出し、代替電源の「切り札」の一つとして洋上風力の普及促進に向けてかじを切りました。国のエネルギー政策の基本的な方向を示すエネルギー基本計画の見直しに着手し、30~50年を見据えた新たな計画の策定作業に入りました。

2020年の経済同友会の提言

経済同友会(桜田謙悟代表幹事)は2020年夏、再生可能エネルギー(再生エネ)の電源構成比率について、2030年までの今後10年間で40%と、政府目標のほぼ2倍に引き上げるべきだとする提言をまとめました。このうち太陽光と風力の両発電によって30%を賄うとしました。

パンデミック下のエネルギー確保

新型コロナウイルスの世界的感染拡大(パンデミック)は国際流通網の寸断をもたらしました。エネルギー源を海外からの輸入に頼る日本の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて浮かび上がらせました。国内資源だけ賄うことができる「再生エネルギー」の比率を高めることは、エネルギー安全保障を確保するうえでも必須です。

LNG(液化天然ガス)への不安

こうしたなか、経済同友会は提言で、液化天然ガス(LNG)の国内備蓄が2週間分しかないことに懸念を表明しました。LNGは、地球温暖化の原因となる「温室効果ガス」の排出量が比較的少ないです。火力発電用に導入が進められています。

太陽光と風力の大量導入

経済同友会はLNGについて「ひとたび物流の停滞が起こると、たちまちエネルギー供給に大きな影響が生じる可能性がある」と指摘しました。そのうえで、温室効果ガスを排出しない原子力発電の稼働再開の必要性を強調。さらに、太陽光や風力など再生エネの普及が重要だと訴えました。その上で2030年までの再生エネの大量導入を求めました。

原発はドイツが「全廃」。仏、英、中国、インドは「継続」

海外の温暖化対策を見ると、温室効果ガス排出ゼロ電源のうち、原発についてはドイツが2022年までに全廃する方針です。一方、原発大国のフランスは、削減するものの「温存」を図っています。英国、中国、インドなども気候変動対策をはじめ多様な理由から、原発を継続する構えです。

石炭火力の縮減・廃止で一致

総じて見ると、欧州各国やカリフォルニア州など米国の州レベルでは、気候変動対策を国際社会共通の最重要課題の一つと位置付け、再生エネの導入加速や温室効果ガス排出の多い石炭火力の縮減・廃止で一致しています。

日本の目標は、2030年に再生エネ「44%」

こうしたなか、日本は長期エネルギー需給見通し(2015年7月策定)やエネルギー基本計画で、2030年の時点の目標を掲げました。それによると、温室効果ガス排出ゼロの原発と再生エネルギーの電源比率を「44%」に高めるとしました。44%の内訳は、再生エネが22~24%、原発20~22%です。

原発不安が強い

しかし、原発をめぐっては、2011年の東京電力福島第1原発の重大事故で高まった国民の対原発批判・不安は拭い去られていません。加えて、関西電力首脳、幹部による原発立地自治体元幹部からの金品授受問題で、原発を運営する旧大手電力に対する不信感が一段と高まりました。

現状は再生エネ17%、原発6%

この結果、原発再稼働に向けた環境整備が進んでいません。2018年度の排出ゼロ電源の割合は再生エネ17%、原発6%の計23%にとどまっています。つまり、44%という目標の半分程度にとどまっているのです。

国際公約「2030年時点で温暖化ガスを26%カット」

日本政府は国際公約として、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で26%削減するとしています。原発再稼働をめぐる厳しい現実を考慮すると、この公約を達成するためには、太陽光などの再生エネの大量導入が現実的な選択肢です。

太陽光と風力で30%を

経済同友会の提言は、2030年時点の再生エネ比率の目標を「40%」としました。その実現に向け、主力となっている太陽光と、供給力を大幅に引き上げる風力とを合わせて30%を達成すべきとしています。

残りの10%を水力とバイオマス(生物資源)、地熱など他の再生エネで賄うとしています。

政府の誘導が必要

目標の達成に向けては、政府の政策誘導を求めました。さらに、民間企業による積極的な投資も呼びかけました。再生エネの拡大は、日本のエネルギー自給率の向上に役立つと強調しています。さらに、LNGなど化石燃料輸入で生じる国富の海外流出を抑制するというメリットも指摘しています。

2030年の原発比率15%

経済同友会の提言は再生エネ40%目標の前提として、稼働中および稼働申請中の原発はすべて稼働すると仮定しました。その仮定に基づき、2030年の原発の電源比率を15%と設定しました。

「目標達成が可能」

再生エネ40%を達成した上で、原発が政府目標の20~22%や同友会の挙げる15%を超える場合、ゼロエミッション(温室効果ガス排出ゼロ)電源比率は50~60%にまで伸びると予測しました。そうなれば、政府が掲げる2030年時点の温暖化ガス削減目標を上回ることができるとしました。

世論の変化は難しい

しかし、現実に目を向けると、原発に対する厳しい世論を和らげるのは並大抵のことではありません。政府・与党も原発問題が選挙の争点となるのを避け、再稼働に向け積極的な行動を取ろうとはしていません。同友会の目指す原発15%への引き上げは、常識的に見れば困難といえるでしょう。

原発が6%にとどまっても、太陽光や風力でカバー

この点について、同友会は、仮に原発の稼働状況が現在水準(6%)にとどまったとしても、太陽光や風力などの再生エネを拡大すれば、2030年の目標は「達成できる」と自信を示しました。

仏英独は「石炭火力」廃止へ

国際的な再生エネ導入への取り組みを見ると、市民の環境意識が極めて高い欧州各国を中心に、日本よりも一歩も二歩も進んでいます。例えば、温室効果ガス排出量が多く、「嫌われ者」となった石炭火力について、フランスは2022年までに、英国は2025年までに、ドイツも2038年までにそれぞれ廃止する方針を表明済みです。

日本は32%が石炭火力

日本政府は2020年7月、電源構成(2018年度)で38%のLNG火力に次ぐ32%を占める石炭火力をめぐり、1990年代前半までに建設された約110基のうち、9割程度を2030年度までに削減する計画を打ち出しました。

高効率の方式は維持

同時に、政府系金融機関の国際協力銀行などによる石炭輸出支援要件を厳格化しました。ただ、温室効果ガス排出量が旧式石炭火力より少ない石炭ガス化複合発電(IGCC)や超々臨界圧(USC)の高効率石炭火力は維持する方針を崩しませんでした。

パリ協定の路線に反する

IGCCやUSCといっても、温室効果ガスの削減は旧式石炭火力と比べ最大でも3割程度とされます。環境関連機関・団体からは「エネルギー政策の抜本的な転換を意味するものではなく、パリ協定の長期気温目標に向けても不十分な内容」(地球環境戦略研究機関IGES)との批判があります。また、「(パリ協定達成には)先進諸国で2030年までに石炭火力発電の利用を全廃することが必要とされている。日本政府の方針はこうした世界の努力とは全く異なる」(自然エネルギー財団)といった批判も相次ぎました。

温室効果ガス排出絶対量の多い石炭火力を堅持する日本のスタンスは、先進国に限れば異例と言えます。

英独仏は2030年までに再生エネ「40%以上」

日本と対照的に、欧州では、石炭など火力発電の代わりに太陽光や風力などの再生エネ導入を強力に推進してきました。英独仏3カ国は2030年までに再生エネ比率を40%以上に引き上げるとの目標を表明しました。

アメリカは州が主導

温暖化防止の国際的枠組みであるパリ協定から離脱した米国も、エネルギー政策の権限が強い州政府レベルの対応は連邦政府と異なるケースが多いです。30超の州政府が再生エネ比率目標を制定しています。

カリフォルニアは33%を達成。100%目指す

例えば、カリフォルニア州は「2020年までに再生エネ比率33%」との目標を2019年に前倒しで達成しました。2045年までに100%にするとの目標を新たに打ち出しました。

太陽光の設備容量見通し

同友会は提言で、欧州などと比べ遅れの目立つ再生エネ導入を加速させるために、太陽光と風力に分けて課題や取り組みを提示しました。前提として2030年の政府電力需給見通し(総発電電力量を1兆650億キロワット時程度)を用い、2030年時点の設備容量は太陽光で1億2000万キロワット、風力で6000万キロワットと推計しました。

5500万キロワットを追加導入

このうち太陽光は2019年9月末時点での導入設備容量に対し、固定価格買い取り制度(FIT)で認定済みながら未稼働となっている設備の半分が稼働すると仮定。2030年までに5500万キロワットの設備容量を追加導入する必要があると試算しました。

ビルの屋根へのパネル設置

2018年の実際の新規導入は560万キロワットでした。今後もビルの屋根などに太陽光パネルを新設する取り組みを通じ、年500万キロワットのペースで導入を続けられれば、2030年に1億2000万キロワットは「十分に達成可能」としました。

洋上風力

風力発電をめぐっては、導入済みと未稼働のFIT認定設備の合計で990万キロワット、環境影響評価(アセスメント)手続きを実施した洋上風力案件(2019年8月末時点)が約1300万キロワット相当分あります。

再エネ海域利用法

さらに、洋上風力の促進策の一環として2019年4月に「再エネ海域利用法」が施行されました。これによって洋上風力のさらなる導入が期待できます。

全国で4か所を指定

政府は再エネ海域利用法に基づき優先的に事業を進める「促進区域」として、以下の4カ所を指定しました。

  • ・長崎県五島市沖
  • ・千葉県銚子市沖
  • ・秋田県能代市・三種町・男鹿市沖
  • ・秋田県由利本荘市沖(北側、南側)

2020年6月には、長崎県五島市沖を対象に、再エネ海域利用法に基づく初の発電事業者公募手続きに入りました。

海域の占有許可が最長30年に

洋上風力海域の占有許可は再エネ海域利用法施行以前は都道府県の所管でした。期間が3~5年と短く、本格的な事業化の壁でした。同法施行後は、発電事業者は最長30年間、海域の占用が認められます。

長期的視点から収益計算が可能になるなど事業計画の策定が円滑に行え、洋上風力導入には追い風となります。

達成に楽観的

同友会の提言は2030年度までに必要な風力発電容量を約5000万キロワットと試算しました。「現状とのギャップはいまだに大きい」と認めつつも、太陽光と同様の「政策誘導によって、風力発電の導入を加速することで、十分に達成可能ではないかと考える」との認識を示しました。

EEZが世界で6番目に広い

さらに、より長期的視点に立てば、領海・排他的経済水域(EEZ)が世界で6番目に広い日本にとって洋上風力の潜在的な可能性の大きさを強調しました。環境省によると、洋上風力で約11.2億キロワット、陸上風力で約2.8億キロワットの潜在的な発電能力があると推定しています。

総合商社、ゼネコンが参入意欲

政府も洋上風力の導入加速にかじを切りました。2020年7月には官民協議会を結成。中長期的な導入目標などの検討を進めました。2020年12月には「洋上風力産業ビジョン」を打ち出しました。こうした政府の取り組みを受け、大手電力、総合商社、ゼネコンなどさまざまな業界・企業が参入意欲を一段と高めました。

東電が銚子で風力発電を計画

東京電力は国内洋上風力で200万~300万キロワット。すなわち原発2~3基分相当の電源化を目指します。その一環として、千葉県の銚子市沖で大規模風力発電を計画しています。同市沖で実証実験などを行ってきたほか、2020年3月には洋上風力発電で世界最大手のオーステッド(デンマーク)と合弁を設立し、同沖での事業者公募に向けた体制を強化しました。

秋田では東北電力や三菱商事グループなど

一方、秋田県の由利本荘市沖では、参入に向けた激しい競争が展開されています。以下の企業が準備を進めています。

  • (1)東北電力、再生エネ企業レノバ(東京)、コスモグループなどの連合
  • (2)中部電力と三菱商事グループなどの連合
発電コストが課題

再生エネの電源構成比率を40%に引き上げるうで、大きな障害があります。それは、発電コストです。日本の発電コストは国際的に割高となっています。

また、系統(電力の生産から消費までを行う設備全体)の「混雑」緩和という問題があります。さらに、需給運用と調整力の強化、バックアップ電源の確保も課題です。

賦課金約2兆4000億円

最大の課題は、発電コスト高です。現に、FITにおいて買い取り費用は約3兆6000億円(2019年度)に達しました。各家庭の電力料金に課される賦課金が約2兆4000億円(2019年度)という巨費に膨れ上がりました。

再生エネ全体の1キロワット時当たりの発電コストは2018年で20円以下です。FIT開始の2012年の同30円以上からは低下しました。しかし、卸売電力価格の同10円程度を大きく上回っています。経済同友会は「賦課金を抑制しない限り、国民負担が増大する可能性がある」と懸念を示しました。

太陽光の初期費用がドイツの1.9倍

経済同友会によると、再生エネ拡大の主力と位置付ける太陽光について、初期費用がドイツと比較して約1.9倍になっています。太陽光パネルそのものは約1.2倍の差にとどまります。しかし、系統接続、ケーブル、架台、監視機器などのその他設備費が約1.9倍です。

工事費が3.7倍

土木・設置、電気などの工事費が約3.7倍です。認可手続きや設計費、FIT認定取得手続き、販売管理費などのソフトコストが約3.1倍です。提言は、これらが日本の太陽光のコスト高の主な要因であると分析しました。

日本の太陽光設置コスト(ドイツとの比較)
内容 対ドイツ比
太陽光パネル 1.2倍
設備費(系統接続、ケーブル、架台、監視機器など) 1.9倍
土木・設置、電気などの工事費 3.7倍
認可手続きや設計費、FIT認定取得手続き、販売管理費 3.1倍

出典:経済同友会の提言

入札とFIPでコスト減へ

太陽光の初期費用について、政府の進める「入札制度」でコスト低下が期待できそうです。また、FIP制度の導入も効果がありそうです。FIPは、電気の買い取り価格を固定するのでなく、市場の実勢価格に一定の補助額を上乗せする仕組みです。欧州で採用されているます。

土地造成が不要な工場の屋根

しかし、日本は平たん地が少なく、土地造成をする必要があることが、コストを引き上げる一因となっています。同友会は、この対応策として工場やオフィスの屋根といった土地造成が不要な場所への積極的な太陽光パネルの設置などを提唱しました。

仕様の共通化

また、経済同友会「設備の設置については、全国で技術やノウハウを共有することで仕様の標準化を行い、生産ロット拡大による規模の経済を生かしたコスト削減に取り組むことが肝要だ」と呼び掛けました。

耕作放棄地

太陽光は需要地に近い場所で発電が可能なため、地域活用電源としての開発ができます。公共施設や耕作放棄地など「地域が一体となって」の開発が望ましいです。

東京都は都の施設で利用

自治体のモデルとして東京都の取り組みがあります。一般家庭や発電事業者から、都が太陽光電力を買い取り、都の施設で利用しています。また、東京都ではこのほか、再生エネ電力購入希望者を募り、一定量の需要を束ねることで価格低減を実現しています。全国の自治体も参考にできる取り組みです。

全国の自治体が再生エネによる「地産地消型」の発電を推進できるよう、政府もサポートすべきです。

農地転用許可

都道府県など自治体は、再生エネの設備設置の際の許認可の権限を握っています。具体的には「農地転用許可」や「港湾整備」などの権限です。

行政手続きの時間と人手

許認可の手続きに時間を要し、人的コストがかかることも、再生エネの高コスト要因の一つです。同友会は、是正策として都道府県などに円滑な許認可を促すため、再生エネの設置に応じたインセンティブ付与を求めています。

住民の反対運動

さらに、大規模な太陽光や風力発電施設の導入に関連した森林伐採や騒音問題などに関する住民の反対運動も活発になっています。自治体では、再生エネ設備の設置を禁止する動きが強まっています。

同友会は自治体に対して「土地利用の用途を分けるゾーニング導入」を提案しています。

送電線が混雑

また、太陽光などでは「系統接続」が大きな課題となっています。送電線に新規接続される再生エネの増加に伴って、系統混雑を是正するために、送電線を新設・強化する必要があります。しかし、コストが莫大だといいます。

北本連携線の例

同友会の提言は、参考となる事例として、北海道と本州を結ぶ北海道・本州間連系設備(北本連携線)を挙げました。「部分的な増強・新設により十分に対応が可能」との見解を示しました。

気象の変化に備えた蓄電設備

また、太陽光や風力は気象条件により発電量が変動します。大量導入のためには、需給ギャップを解消する調整市場の整備が必要になります。「蓄電設備」の整備も課題になります。