メガソーラー

ワールドPVエポック(2003年5月)

太陽光発電とメガソーラーの国際会議「ワールドPVエポック・イン・大阪」についてレポートします。

ワールドPVエポック・イン・大阪

太陽光発電とメガソーラーをめぐる国際会議「ワールドPVエポック・イン・大阪」が、大阪国際会議場を中心に、2003年5月20日まで開かれている。太陽光発電は、無尽蔵でクリーンなエネルギーとして期待が大きい。日本は各国に比べて普及が早く、日本企業も国際競争で優位に立っている。

太陽電池

太陽光発電をする太陽電池は、50年前、アメリカのベル研究所で開発された。2種類の半導体を組み合わせて太陽光をあて、電気を発生させる仕組みだ。

確認埋蔵量は、ウランが約70年分、石油が約40年分

最大の長所は、枯渇の心配がない点だ。世界のエネルギー源の確認埋蔵量は、ウランが約70年分、石油が約40年分程度とされ、いずれはなくなる。これに対し太陽光は、地球に到達する1時間のエネルギーだけで、世界の1年分のエネルギー消費量をまかなえるという。

CO2(二酸化炭素)を排出しない

地球温暖化につながるCO2(二酸化炭素)を排出しない点も大きい。

石油と違い、地域的な偏りもないため、紛争を招かない「平和なエネルギー」とも呼ばれる。

日本企業が生産

太陽電池の半分近くは、日本企業が生産している。太陽電池の世界の生産量は、2002年は約560メガ・ワットに達し、1997年(約126メガ・ワット)から5年間で4倍となった。このうち、日本企業の生産量は約251メガ・ワットを占める。

発電量は世界一で、ドイツの2倍

日本は、生産するだけではなく、実際によく使っている。2002年の太陽電池による発電量は、日本は約452メガ・ワットで、2位のドイツ(約195メガ・ワット)、3位のアメリカ(約168メガ・ワット)を大きく引き離している。

石油危機で研究本腰

日本が世界をリードしている背景として、まず、取り組みの早さが挙げられる。1973年の石油危機を受け、通産省(現経産省)は、太陽光発電の普及に向けて2000年度を最終目標年度とする「サンシャイン計画」を策定した。ワールドPVエポック・イン・大阪の組織委員長を務める黒川浩助・東京農工大教授は「国のプロジェクトとしては異例の超長期計画が、メーカーや研究機関による息の長い研究開発につながった」と振り返る。

NEDOから補助金

家庭で太陽光発電システムを導入すると、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて1キロ・ワットあたり9万円の補助金が出る。家庭用で主流の3キロ・ワットのシステムでは、27万円のコスト削減効果がある計算だ。家庭で発電した余剰電力を電力会社が買い取る制度もあり、普及を後押ししている。

シャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機

製造業の国際競争力という視点からも、重要な存在だ。2002年の企業別の世界シェア(市場占有率)はシャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機の4社がベスト10に入る。各社は増産を考えており、シャープは生産能力を現在の130メガ・ワットから、2003年度末には200メガ・ワットに増やす。京セラは72メガ・ワットから年末までに80メガ・ワットに、三洋電機は35メガ・ワットから2005年度に120メガ・ワットに引き上げる計画だ。

モジュールの変換効率で17-18%台

実用面では、太陽光を電気エネルギーに変換する効率の良さが重要なポイントになる。シャープや三洋電機は、モジュール(太陽電池の基本装置)の変換効率で17-18%台を維持し、世界の標準的な変換効率(12-15%)をしのいでいる。

設置費用は、1キロ・ワットあたり平均で約71万円

今後、さらに普及を進めるには、設置コストの削減がカギを握る。

太陽光発電の設置費用は、1キロ・ワットあたり平均で約71万円だ。家庭の標準な装置は3キロ・ワットなので、213万円する。補助金を考慮しても200万円近くするわけで、一般的な家庭では手が出にくい。業界では、100万円を切れば普及にはずみがつくとの見方があり、抜本的なコスト削減が技術開発の焦点となる。

ワールドPVエポックとは

太陽光発電(PV)普及のための世界最大のイベントで、今回が3回目、日本では初めての開催となる。4、5年に1回開かれることから「PV五輪」とも称され、各国の関係者が最新の研究・開発成果を持ち寄る。今回は、大きく分けると、学術会議「第3回太陽光発電世界会議」、117社による「太陽光発電世界展示会」、政策担当者による「IEA太陽光発電システム国際会議2003」と3つの催しがある。

パイオニアの跡地に太陽光パネル工場(吉川秀幸)

2017年2月

出水市大野原町の旧パイオニア工場跡地に、太陽光パネル製造・販売会社のエネルギーギャップ(本社・東京)が「出水第一工場」(仮称)を建設することになり、2017年2月21日、市と立地協定を締結した。 (吉川秀幸)

鹿児島・出水

エネルギーギャップは2014年の設立で、国内外で太陽光パネルの開発、生産を行っている。同市への進出は本格的な国内生産に向けた最初の動きで、既存の鉄筋コンクリート4階建ての施設(延べ床面積約1万6000平方メートル)を改修し、太陽光パネルの組み立てなどを行う。

工事は4月に着手し、年内にも操業を始める。社員45人は地元で雇用し、最終的には100人規模に拡大する。投資額は約8億円で、年間約50億円の生産を見込む。

市役所で行われた調印式には、県幹部ら約20人が出席。渋谷俊彦市長と協定書を交わした郭(かく)海彬(かいひん)社長(34)は「事業の発展だけではなく、市の活性化にも取り組みたい」と述べ、渋谷市長は「市を挙げて歓迎する。雇用創出に貢献してほしい」と語った。

同市では2009年、パイオニアとNECの関連会社が相次いで撤退。市は跡地への企業誘致を進めていた。

太陽光発電住宅

近年、環境に配慮したり、省エネにつながるさまざまな取り組みがあらゆる分野で積極的に行われている。住宅業界でも環境との共生や健康に配慮した動きが活発になってきた。

その中で地球環境への負担を減らし、二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギー対策の切り札と期待されているのが「太陽光発電(PV)住宅」。

空気を汚す原因でもあるガスや灯油を使わずに給湯や調理、また地震などの災害時にも対応できる”オール電化”システムも可能で、次世代の省エネ住宅として期待されている。

PV住宅は、屋根の一部を太陽電池パネルにし、日中発電した電気を、そのまま家庭で利用する仕組みになっている。標準的な発電容量三キロワットタイプで三百万円。これで四人家族の年間消費電力をほぼ賄えるという。

余剰電力は電力会社に売ることができる一方、発電が困難な夜間や雨天時は、これまで通り電力会社から供給が受けられる。

しかし、普及のネックとなっているのが価格面。このため通産省・資源エネルギー庁は、PV住宅の普及のため平成六年度から「PVシステムモニター事業」を始めた。同システムの設置費用の一部、一棟につき約百万円を補助し、その代わりにモニターになってもらう制度だ。

PVシステムを標準装備した住宅に力を入れているのがプレハブ住宅大手のミサワホーム。住宅用のPVシステムへの通産省の今年度の補助金の総額が大幅に増えることと、太陽電池のコストダウンが進んでいることから、普及がさらに期待できると見込む。

クリーンエネルギー対策として期待が高まっているPV住宅。佐賀県ではまだまだこれからの段階だが、ミサワホーム佐賀はモデルハウスを今夏、佐賀市内に建設、積極的な営業を展開する構え。PV住宅の普及が環境問題の解決に拍車をかけそうだ。